
どんな分野にも言えることだと思うのですが、
物の価値というのは目の前にあるその物体のみにあるわけではありません。
その物や事柄に至るまでの、かかわった人々の知恵と努力と経験にこそ大きな価値があるということです。
例えば、アップル社が人気なのは、製品の品質や使い勝手はもとより、
パッケージひとつにも手を抜かない一貫して洗練されたデザイン。
そのデザインクオリティーの高さは、その裏に設計者(デザイナー)の壮大な試行錯誤があり、
そのたまものなのではないかと思うのです。
今までその部分があまりになおざりにされ、目先の安さに価値を見出すという、
人の労働(頭脳労働も)に対する価値があまりに安すぎたと思います。
結果、長いデフレスパイラルに陥ってしまったのかもしれません。
安くてチープなものがたくさん出回りすぎて売れないのであれば、
高いけどクオリティーが高くて一生使える物を数量限定で出せば売れるかもしれません。
自分の仕事においても、同じ収入になるとすれば、バタバタとおっつけ仕事で数をこなすより、
試行錯誤と手間暇かけて一つの物を吟味しあれこれ修正しながらより優れた物(建築)を創り上げる方がいいと思います。
それが物の価値として認められていくようであれば、
社会は成熟してくると思うのです。

↑ こちらの名刺入れは、先日、TVで
工房(HACOA)が紹介されていました。
一つ一つ丁寧に精密に手作業で作られていて、
職人さんの思いが伝わってきます。
すぐネット検索して買っちゃいました。
本当によくできていて素敵です。
繊細な手作業と数多くの部品と多岐にわたる工程を経てやっと出来上がる様は、
これは安すぎるとさえ思えてしまいます。
つまり、私の言いたいことは、
見えない部分にある価値が認められる社会になっていくといいということです。
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テーマ:建築 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2013/04/29(月) 21:38:08|
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