
随分前に、高断熱高気密住宅の信者のようなお施主さんに出会い、
日本の風土や工法、コストなどいろいろ調べたことがありました。
結局そのお施主さんとは縁がなかったのですが、
そのときに出した答えは、高断熱高気密住宅は、
日本の気候風土(特に太平洋側のⅣに分類される温暖な地域)に対して、
必ずしも万能ではないし、快適だとも言い切れない。
ということです。
そのとき、さまざまな観点から、調湿機能が日本では重要なポイントだという結論に達しました。
なかなかコストパフォーマンスの高さではグラスウールの断熱材ははずせません。
本当は羊毛断熱がいいかもしれないとは思いつつ。
タイベックシルバーや間伐材で作られる3層の杉板パネル(Jパネル)をうまく利用すると、
多少のコストアップでかなり快適な空間が造れることも実証済です。
福岡大の須貝高教授のセミナーで同じことを言われて驚きました。
木造住宅を100年住宅にするためには、構造材(木材)を常に乾燥させること。
そのために羊毛断熱材もいいという話や、
今人気の外断熱(木造は外張り断熱)も万能じゃない話(夏季の壁内結露)、
湿気を抜く為にタイベックシルバーを屋根に使って、
湿気を外に逃がす話。(セミナーでは商品名は伏せてました)
行き着くところは間違ってなかったんだ。
ちょっと自信になりました。
やみくもな外断熱はシロアリ被害や、開口部での内部結露によるカビ、腐りにもつながりかねません。また、鉄骨造での外断熱はヒートブリッジは完全には解消できません。
起こるべくして起こることを予測し、
小さな試行錯誤は必要なことなのです。
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- 2008/10/03(金) 23:35:50|
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売れっ子デザイナーサトウオオキ氏の
ネンドのオンドっていうブログに書いてあったのだけど、
デザイナーでも儲からない分野があって、それは建築関連と家具デザインらしい。
まさにそれ、わたしだ。ビンボー暇なしだわ。
確かに図面1枚いくらなんていうCADオペレーターの世界や、
どんどん規格住宅をパズルのように組み立てる住宅メーカー設計からみると、
わたしたちの設計料というものは高く見えるようです。
(っていうか、あまりに設計料安すぎるんだよね)
でも、実際は、図面1枚のために、数え切れない試行錯誤と、
あーでもない、こうでもないと費やす時間はハンパじゃない。
なぜにこうも気力一つでやってるのかって言えば、
自分の納得する設計がしたいからだし、
なるほど、と感じてもらいたいからだし、
果ては、施主が自慢できる住まいや、お客が来たくなる店舗にしたいから。
考えれば考えるほど、
探せば探すほど、
試行錯誤すればするほど、
完成度が上がるのは必須なのです。
図面そのものは文字と線なわけで、だれだってそのまま写すことはできる。
枚数が少なければたいした作業もなさげに見える。
でも、見えないところで大変な試行錯誤があること、知ってもらえたらなぁ。
先週、計画のドタキャンがあった。
年内オープンなどとお尻をたたかれ、
なのに打ち合わせ担当者不在のなか、
現地を調査したり、基本設計を進めてきたのだけど、
突然、理由もはっきりしないまま、計画は中止となった。
なかなかの大手企業だったし、またまた鶴の一声(ワンマン社長?)で散った計画。
ちょうど苦しいくらい仕事の追われているので、
がっかりする気持ちは当然あったけど、どこかほっとしていたりして。
それにしても、それまでの設計料は今後の事もあって請求できないかもなぁ。
間に、店舗設計を何度かやらせていただきてるオーナーさんもはいっていることだし。
ただ働きになってしまいました。
ブログ書いてる場合じゃないけど、
ちょっと気分転換して、また明日。
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- 2008/10/07(火) 02:10:00|
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